11/25/2008

ほんとうは、up したばかりの
Mehndi Gallery について書こうと思ってたのですが
重大ニュースを耳にしたので、コチラを先に。

そのニュースとは、
「ウェールズのバンド― Manic Street Preachers のギタリスト― Richey James Edwards に
ついに死亡宣告が出された」というもの。
» Missing Manic Street Preacher Richey Edwards declared legally dead, 13 years on
» Missing guitarist ‘presumed dead’

Manics は、1990年にEP New Art Riot でデビュー。
その後、「ファーストアルバムで世界中でNo.1 を獲って、解散してやる!!」と宣言してましたが
現在は無事、UK を代表するバンドのひとつとなっています。
(獲れなくても解散! とも言ってました)
わたしにとっては、
ライヴには行ったことありませんが
デビューからずっと、リアルタイムで聴きつづけている身近なバンドです。

そして、リッチー。
Manics のギタリストであり、作詞にもたずさわっていた彼は
1995年2月1日、ホテルの一室から失踪してしまいました。
当時このニュースを聞いたとき
「きっとすぐ戻ってくるよね」とトモダチと話していたのですが
あれから、14年近くもたってしまったんですね…

インタビューやニュースを読んだかぎり
リッチーには、鬱や精神的な不安定さがあったようで
1991年には、有名な”4 REAL” 事件をおこしています。

これは、ロック・ジャーナリストのSteve Lamacq が
NME のためにインタビューした際
Manics にたいして、「おまえたちはハッタリだ」的発言をくりかえし、
これにキレたリッチーが
カミソリで腕に”4 REAL (本気)” と刻んだ、というもの。

このときの、ズタズタで血だらけの傷を見せつけるかのような写真や
くりかえしていた挑戦的な発言、
難解で耽美的な歌詞に、目のまわり真っ黒なビジュアル。
このころ、わたしのManics のイメージは、まんまリッチーでした。
そして、「ナイーヴそうな人だなぁ」と思っていました。

だから、リッチー失踪のニュースを聞いたとき
「ああ、やりそう」と考えてしまったんです…
ファンのかた、ごめんなさい。
でも、その時は、ほんとうにすぐ戻ってくると信じていました。
まさか、こんなことになるなんて orz

失踪後、リッチーを乗せた、というタクシー・ドライバーが現れました。
そして、UK 国内のみならず
ゴアやカナリア諸島などでも、目撃情報があいつぎます。
しかし、現実的には
乗り捨てられていた車が発見されたサービスエリアが
自殺の名所として知られているSevern Bridge に近かったことから
ここから飛び降りたのだろう、と推測されています。

一時は、解散もささやかれたManics ですが
リッチーのご家族の意向もあり、バンドとして活動を続行。
残された3人のメンバー
James Dean Bradfield, Nicky Wire, Sean Moore は
いまでも、バンドの印税の1/4 を彼名義としつづけ(泣)
来春には、全曲の歌詞がリッチーの手によるアルバム
Journal For Plague Lovers が発表予定となっています。
» New Manics album with Richey Edwards’ lyrics

そして、失踪から14年近くたったUK 時間の2008年11月23日
リッチーのご両親からの許可を得て
ついに、裁判所が死亡宣告を出しました。
これに対し、Manics からの正式なコメントは発表されていません。

ただ、友人でもある広報担当者は
「バンドは、いつかこのときがくると覚悟していました。
これ(死亡宣告) は、ご両親の選択であり
ご両親の決断はなんであれ最善であると、よろこんで支持します。
みんな、いつかリッチーが帰ってくると夢見ています。
彼はどこかにいると、望みをもっているんです。
でも、それはもう現実的ではなく
死亡宣告が区切りとなるなら、バンドは受け入れるつもりです」
と話しました。
(わたしの意訳です)

今回のニュースを聞き、わたしの心に浮かんだのは
Manics の曲ではなくて
3人となってからの初レコーディング曲。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争犠牲者へのチャリティ・アルバム― Help からの
♫ Raindrops Keep Falling on My Head のカバーでした。

But there’s one thing I know
The blues he sends to meet me won’t defeat me
It won’t be long till happiness steps up to greet me
…. Because I’m free
Nothing’s worrying me.

いまどこにいようと、リッチーがしあわせでありますように。

以前ニッキーは
「リッチーは生きてるって、いまも思ってる。
物的証拠も理由もないけど。
だって、遺体も証拠もなんにもなくて、どうして死んだなんて受け入れられるんだ?
そんなのばかげてるよ」
と、語っていました。

鬱病や自傷癖, アルコール依存、と
不安定な要素がいくつも見られたリッチー。
にもかかわらず、生存を信じつづけている人たちがいるのは
彼のことばによるところがあるのかもしれません。

「”S”ワード(= suicide, 自殺) はさ、頭の中にないよ。
ぜったいにやらないだろうな、そういうことは。
俺は、そんな考えより強いから。
弱い人間かもしれないけど、痛みは受けとめられるんだ」

いっぽうで、自殺願望とも取れる発言もしていたリッチーですが
あきらかに自殺を否定しているこのことばを
拠りどころとしているかたも
多いのではないでしょうか。

なんかね、「ソロアルバム作ってたんだぜ」って
フラッと帰ってきてくれるような気がするんですよね。
いまでも…

(ニッキー, リッチーのことばとも、わたしの意訳です。
間違いがあったら、おわびします)

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