8/22/2008
夏になると思い出すことがあります。
むかし、ウチでは
(ほぼ父の趣味で…) レコードショップを経営していたのですが
バイトに来てくださっていたのは、ある学校の学生さんたちでした。
先輩が卒業するときに、
後輩に引き継いでくださっていたんです。
そんな学生さんたちのなかに
イトウくん、というかたがいらっしゃいまして。
秋田出身で、帰省するたび
当時小学生だったわたしと、幼稚園くらいだった弟に
たくさんお土産をくださったんです。
そして、そのなかに、一生忘れられないものが。
それは、蛍。
「都会の子だから、蛍なんて見たことないだろうと思って」と
おっしゃっていたと、あとから親に聞きました。
わたしたちに見せようと
蛍を虫カゴいっぱいに捕まえて、
東京まで持ってきてくださったんです。
はじめて見る蛍が、うれしくてうれしくて
おおさわぎしたのを覚えています。
おかえしに、イトウくんの似顔絵描いたっけなぁ。
夏休みに実家に帰った学生が、ですよ。
バイト先のこどもに見せるために
蛍のいそうなところを探して、捕まえて
たいせつに東京まで持って帰って。
どんなに大変だっただろう…
夏がくるたび、弟と
「イトウくんが蛍を捕まえてきてくれたよね」って話していたのですが
いつのころからか、意味合いがかわってきました。
おとなになって思うのは
蛍そのもののめずらしさではなく、
イトウくんのやさしさ。
だから、蛍は、弟とわたしとって
代々の(笑) 遊んでくれたお兄ちゃんたちと、そのあったかい心を思い出す
たいせつな記憶の鍵です。